工場の防音設備で見落とされる「安全性」に関する3つのポイント~音を下げても新たなリスクを生まないために~
皆様こんにちは、製造部の大澤です。
工場の騒音対策では、「何dB下げられるのか」「どの程度音を遮れるのか」といった防音性能が注目されることが多くあります。
もちろん、防音設備にとって音を低減することは大きな目的の一つです。しかし、防音壁や防音カバーも工場内に設置する設備の一つです。
騒音を下げることだけを優先した結果、
「非常停止ボタンが見えにくくなった」
「警告灯が防音壁の陰に隠れてしまった」
「屋外の防音壁が強風を受ける構造になっている」
といった状態になってしまっては、安心して使用できる騒音対策とは言いにくくなります。
今回は、以前ご紹介した「作業性」とは少し視点を変えて、防音設備そのものの安全性について3つのポイントをご紹介します。
関連記事:工場騒音対策で重要な「作業性」に関する3つのポイント〜防音性能だけでは解決できない課題とは〜
① 非常停止・警告表示などを防音設備で隠さない
設備を防音パネルで囲う場合、最初に確認しておきたいのが、異常発生時に必要となる操作や表示です。
例えば工場設備には、
・非常停止ボタン
・警告灯
・異常表示
・温度計
・圧力計
・操作盤
・警報ブザー
などが設けられていることがあります。
設備の周囲へ防音壁を追加すると、これまで問題なく確認できていた表示が見えにくくなったり、緊急時に操作しづらくなったりする可能性があります。特に注意したいのが、設備を大きな防音カバーで囲う場合です。
音漏れを抑えるために設備全体を囲った結果、非常停止ボタンを操作するために一度扉を開けなければならない構造になってしまうと、緊急時の対応が遅れる可能性があります。
また、警告灯についても、作業者から見えなければ本来の役割を十分に果たせません。警報ブザーについても同様で、防音設備を設置することで必要な警告音まで聞こえにくくなる可能性があります。
このような場合には、
・非常停止ボタンを囲いの外側から操作できる位置にする
・警告灯が見えるように透明窓や開口を設ける
・操作盤部分を防音カバーの外へ出す
・必要な警報が外部でも確認できるようにする
など、設備の安全機能を維持したまま防音する方法を考えることがあります。
防音設備を設計するときは、「何を囲うか」だけでなく、「囲ってはいけないものは何か」という視点も大切になります。
関連記事:樹脂材切断機の騒音対策~使用頻度により仕様変更可能な点検扉付きの5面体防音カバーを製作
② 防音壁そのものが転倒・脱落しない構造になっているか
防音壁は、設置すれば終わりというものではありません。特に高さのある防音壁や屋外へ設置する防音壁では、パネルそのものの防音性能だけでなく、それを支える構造も大切になります。
例えば屋外では、防音壁が常に風を受けます。防音パネルは板状のため、面積が大きくなるほど風を受ける面積も増えていきます。
高さ2m、3mと防音壁を高くしていく場合には、パネルだけではなく、
・支柱
・架台
・アンカー
・基礎
・パネル同士の固定方法
なども含めて考える必要があります。
工場建屋の中で使用する場合でも同様です。
設備の振動を受ける場所や、人や台車が近くを通る場所では、長期間使用する中でボルトが緩んだり、パネルの固定状態が変化したりする可能性があります。また、点検のために取り外せるパネルを使用する場合には、通常運転中に外れない固定方法も必要です。
一人静シリーズは薄型・軽量であるため、大型の重量型防音パネルと比べると支持構造への負担を抑えやすい特徴があります。
一方で、軽量だから固定が不要ということではありません。特に屋外では、パネルの自重よりも風による力が問題になるケースもあります。実際の防音壁では、設置場所や高さ、パネルの枚数などに応じて支柱やアンカーを組み合わせ、構造を検討していきます。
「音を止める壁」であると同時に、「工場内に設置する構造物」であることを考えることで、長期間安心して使用しやすくなります。
関連記事:室外機用防音壁を施工~基礎へのアンカー固定に加え外壁とのワイヤー接続により転倒防止対策を強化
③ 火災時の安全性や避難経路まで考えて設置する
防音設備を検討する際に、もう一つ確認しておきたいのが火災などの非常時です。
工場内には、
・高温になる設備
・モーターや電気設備
・溶接や研磨など火花が発生する工程
・分電盤
・消火器
などが配置されています。
その近くへ防音材を設置する場合、使用する材料の燃えにくさも確認しておきたいポイントになります。吸音性能が高い材料でも、設置場所によっては熱や火気との相性を考える必要があります。
一人静シリーズには、不燃性能を考慮した仕様があります。防音性能だけでなく、工場内で使用する材料として安全性にも配慮することで、高温設備や火気を扱う場所の周辺でも対策方法を検討しやすくなります。
また、材料だけではなく、防音設備の設置位置にも注意が必要です。
例えば、
・防音壁によって避難経路が狭くなる
・消火器の前にパネルを設置してしまう
・分電盤の扉が開かなくなる
・非常口の視認性が悪くなる
といった状態は避けたいところです。
通常運転時には問題がなくても、非常時には人の動きが大きく変わります。そのため、防音設備を設置する際には、設備周辺だけではなく、通路や非常口、消火設備との位置関係まで見ておくことで、より安全性の高い配置につながります。
防音設備そのものを「安全設備」として考える
防音対策は、騒音を低減することで作業環境を改善するために行います。しかし、そのために別のリスクを増やしてしまっては本末転倒です。
例えば、
- 音は下がったものの、非常停止ボタンが操作しにくい。
- 防音壁を高くしたものの、固定方法が十分ではない。
- 防音カバーを設置したものの、消火器や分電盤へ近づきにくくなった。
といった状態は避ける必要があります。
工場の防音設備では、
防音性能
+
設備の安全機能
+
構造上の安全性
+
火災時の安全性
という複数の視点から考えることで、長期間安心して使用しやすい設備になります。
関連記事:不燃とは「火災時に燃え広がりにくい性能を持つ」こと~「一人静シリーズ」の不燃性能について
一人静シリーズを使用した安全性への考え方
一人静シリーズは、吸音と遮音を組み合わせながら、薄型・軽量化を図った防音パネルです。パネルが比較的軽量であることで、大型の防音壁や防音カバーを製作する際にも、支持構造への負担を抑えやすい特徴があります。
また、アルミ材を使用しているため、
・非常停止ボタンに合わせた開口
・確認窓の設置
・警告灯を避けた加工
・設備形状に合わせた切り欠き
・扉や着脱式パネルの追加
など、現場の安全設備を残したまま防音構造を検討しやすくなっています。
実際の防音設備では、パネルだけではなく、フレームやアンカー、扉などを組み合わせながら現場に合わせて設計することがあります。
一人静シリーズの特徴を活かしながら、「どのように音を止めるか」と同時に、「どのように安全に設置するか」を考えることも、弊社が防音対策を行ううえで大切にしている部分です。
関連ページ:一人静シリーズ(工業用)
まとめ
工場の防音対策では、防音性能だけでなく、防音設備そのものの安全性についても確認しておくことが大切です。
特に確認したいポイントは、次の3つです。
・非常停止ボタンや警告表示などの安全機能を妨げていないか
・防音壁や防音カバーが転倒・脱落しない構造になっているか
・不燃性や避難経路など、火災時の安全性まで考えられているか
騒音を低減することは、工場の作業環境を改善するための大切な取り組みです。
その一方で、防音設備を追加することで新たな危険が生まれないよう、設備の操作方法や設置場所、支持構造、非常時の動線なども含めて検討することで、より安心して使用できる騒音対策につながります。
騒音問題にお悩みの際は、下記よりお気軽にご連絡ください。設備の騒音だけでなく、非常停止などの安全設備、防音壁の固定方法、設置場所や不燃性まで含めて、現場の状況に応じた防音工事をご提案いたします。防音性能と安全性の両方を考えた対策をご検討の際は、ぜひご相談ください。顧客満足度の高い弊社の騒音対策に、ぜひご期待ください。
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