Loading...

株式会社静科

ARTICLE

記事詳細

    工場騒音対策で見落とされる「固体伝搬音」に関する3つのポイント~防音パネルを設置しても音が残る理由とは~

    皆様こんにちは、製造部の大澤です。

    工場の設備騒音対策として、防音パネルで機械を囲ったり、防音壁を設置したりする方法があります。

    実際に、このような対策によって設備から直接伝わる音を大きく低減できるケースは多くあります。

    一方で、

    「設備を囲ったのに、別の場所ではまだ音が聞こえる」
    「設備の近くでは静かになったが、隣の部屋で低い音が残っている」
    「防音パネルを設置した後も、床や壁が振動している」

    といった現象が起こることがあります。

    このような場合に考えられる原因の一つが、「固体伝搬音」です。

    音は空気中だけを伝わるものではありません。設備の振動が床や架台、配管などへ伝わり、その振動が別の場所で再び音として聞こえることがあります。

    今回は、工場騒音対策で見落とされやすい「固体伝搬音」について、3つのポイントをご紹介します。

    ① 音ではなく「振動」が建物を伝わっている場合がある

    一般的に設備から発生する騒音というと、モーター音やファンの風切り音など、空気中を伝わる音をイメージすることが多いと思います。

    このような音は「空気伝搬音」と呼ばれ、防音パネルや防音壁によって音の通り道を遮ることで低減を図ります。

    一方で、設備の運転によって発生した振動が、

    ・設備の架台
    ・床
    ・壁
    ・柱
    ・建物の鉄骨

    などへ伝わることがあります。

    この振動が建物を通して別の場所まで伝わり、床や壁を振動させることで、再び音として聞こえるものが固体伝搬音です。

    例えば、コンプレッサーの周囲を防音パネルで囲い、設備の近くでは騒音が下がったにもかかわらず、隣室では「ブーン」という低い音が残るケースがあります。

    この場合、防音パネルの隙間から音が漏れているとは限りません。

    設備の振動が床を伝わり、隣室の床や壁から音として再放射されている可能性も考えられます。

    音の通り道を遮る防音と、振動そのものを伝わりにくくする防振では、対策する場所が異なります。

    防音パネルを設置しても騒音が残る場合は、「どこから音が漏れているか」だけでなく、「どこが振動しているか」という視点も持っておくと、原因を整理しやすくなります。

    ② 配管やダクトが振動の通り道になることもある

    設備本体だけでなく、設備に接続されている配管やダクトが固体伝搬音の経路になるケースもあります。

    工場設備には、

    ・給排気ダクト
    ・冷却水配管
    ・油圧配管
    ・排水配管
    ・各種支持金具

    など、さまざまな部材が接続されています。

    設備の振動がこれらへ伝わると、離れた場所まで振動が伝達される場合があります。

    例えば、送風機を防音カバーで囲ったとしても、送風機に接続されたダクトが直接建物へ固定されていると、そのダクトを通して振動が建物側へ伝わることがあります。

    また、配管が壁や架台と接触している場合には、その部分から振動が周囲へ広がることもあります。

    このようなケースでは、防音パネルだけを追加しても大きな変化が出にくいことがあります。

    設備本体だけではなく、

    ・配管がどこに固定されているか
    ・ダクトと設備の接続部分はどうなっているか
    ・振動している部材同士が接触していないか
    ・支持金具から建物へ振動が伝わっていないか

    といった部分まで確認していくことで、騒音の原因を見つけやすくなります。

    設備周辺で発生した振動は、思っている以上に離れた場所まで伝わることがあります。

    「音源から離れているのに同じような低い音が聞こえる」という場合には、配管やダクトなどが振動の通り道になっている可能性も考えられます。

    ③ 防音と防振を組み合わせることで改善するケースがある

    固体伝搬音が発生している場合、防音パネルだけで対策を完結させることが難しいケースがあります。

    この場合には、設備から建物へ伝わる振動を抑えるために、防振対策を組み合わせる方法があります。

    例えば、

    ・設備の脚部に防振ゴムを設置する
    ・防振架台を使用する
    ・配管やダクトの接続部に振動を伝えにくい構造を設ける
    ・建物と設備を直接接触させない

    といった方法があります。

    設備から床へ伝わる振動を減らし、そのうえで設備から空気中へ放射される音を防音パネルで抑えることで、より効果的な騒音対策につながる場合があります。

    ただし、防振材は柔らかければ良いというものでもありません。

    設備の重量や回転数、振動の周波数などによって適した防振方法は異なります。

    設備と防振材の組み合わせによっては、特定の周波数でかえって振動が大きくなるケースもあるため、設備の状態を確認しながら検討することが大切です。

    防音パネルと固体伝搬音の関係

    一人静シリーズを使用した防音対策では、主に設備から空気中へ放射される騒音を低減します。

    防音壁として音の伝わる方向を遮ったり、防音カバーとして設備を囲ったりすることで、作業環境や周辺環境への騒音低減を図ります。

    一方で、設備から床や配管へ直接伝わっている振動については、防音パネルだけですべてを解決できるとは限りません。

    そのため、実際の騒音対策では、

    「空気中を伝わっている音なのか」
    「設備の振動が建物を伝わっているのか」
    「両方が同時に発生しているのか」

    を整理することが大切です。

    例えば、防音パネルを設置して空気伝搬音を低減しながら、設備脚部には防振対策を行うなど、それぞれの伝わり方に合わせた対策を組み合わせることもあります。

    一人静シリーズは薄型・軽量であるため、既存設備の周囲へ追加しやすく、設備の点検やメンテナンスを考慮した構造にも対応しやすい特徴があります。

    また、配管やダクトがある設備では、アルミ材の加工性を活かして現場に合わせた開口を設けることも可能です。

    ただし、開口部分や配管周辺についても音や振動の経路になる可能性があるため、設備全体を見ながら対策を組み立てていくことが重要になります。

    関連ページ:一人静シリーズ(工業用)

    まとめ

    工場の騒音対策では、空気中を伝わる音だけでなく、設備の振動が床や建物を伝わる「固体伝搬音」が発生しているケースがあります。

    特に確認したいポイントは、次の3つです。

    ・設備の振動が床や建物へ伝わっていないか
    ・配管やダクトが振動の通り道になっていないか
    ・防音だけでなく防振も必要な状態ではないか

    防音パネルを設置しても騒音が残っている場合、必ずしもパネルの防音性能が不足しているとは限りません。

    空気伝搬音が低減したことで、それまで目立っていなかった固体伝搬音が聞こえやすくなるケースもあります。

    騒音の大きさだけでなく、音がどこから、どのような経路で伝わっているのかを確認することで、必要な対策が見えやすくなります。

    騒音問題にお悩みの際は、下記よりお気軽にご連絡ください。現場の状況や設備の種類、騒音の発生状況を確認しながら、防音工事の設計や防音パネルの選定をご提案いたします。空気中を伝わる騒音だけでなく、設備の振動や設置条件も含めて対策を検討いたしますので、ぜひご相談ください。顧客満足度の高い弊社の騒音対策に、ぜひご期待ください。

    法人様向け:騒音相談WEBツール
    個人様向け:室外機について / 騒音測定について / その他お問い合わせ