身近な音にひそむドップラー効果~ジェットコースターや救急車から学ぶ音のふしぎ~
みなさんこんにちは、製造部の横山です。
休日は、全然動かないこともあり、朝起きてからできる限り、ランニングかウォーキングを行うようにしているのですが、最近は雨続きのため、思うように活動できずもどかしさを感じております。ですが、小雨程度であれば、走ることをやめる理由にはしないことをモットーにしています。
余談はここまでにして。今回は、身近に潜む「ドップラー効果」について、ジェットコースターや救急車のサイレン音を例にご紹介したいと思います。
ジェットコースターの歓声にひそむ音の変化
遊園地などでジェットコースターに乗っている方の歓声を耳にされたことのある方も多いのではないでしょうか。近づいてくるときと遠ざかっていくときとで、声の高さや聞こえ方が違って感じられることがあります。調べてみると、これは「ドップラー効果」と呼ばれる現象だとわかりました。救急車のサイレン音として耳にされたことがある方も多いのではないかと思います。

ドップラー効果とはどのような現象か
ドップラー効果とは、音を発しているものと聞き手との距離が変化する際に、音の高さ(周波数)が異なって聞こえる現象を指します。名前の由来は、19世紀のオーストリアの物理学者クリスチャン・ドップラーで、1842年にこの現象を理論的に説明したことにちなんで名付けられました。
例えば、救急車が近づくときには「ウー」という音が高く、遠ざかるときには低く聞こえます。これは、音を伝える波(音波)の間隔が、音源の動きによって変化するために起こります。音源が近づいてくるときは音波が押し縮められるように間隔が狭くなるため周波数が高く聞こえ、逆に遠ざかるときは音波が引き伸ばされて間隔が広がるため、周波数が低く聞こえるようになります。難しい言い方をしましたが、簡単に言うと「近づくと音は詰まって高く聞こえ、離れると音は伸びて低く聞こえる」というイメージです。
このしくみは、救急車のサイレンだけでなく、電車の警笛や踏切の音、バイクや車が通り過ぎる際のエンジン音などでも、日常的に体感することができます。音源の速度が速いほど周波数の変化も大きくなるため、新幹線のように高速で移動するものほど、通過する瞬間の音の変化をはっきりと感じやすくなります。

暮らしを支えるドップラー効果の活用例
この現象は、実は私たちの生活のさまざまな場面で活用されております。
交通・レーダー技術
交通の分野では、交通警察の速度測定に使われるスピードガンがドップラー効果を応用したものです。車両にマイクロ波を当て、その反射波の周波数変化から瞬時に速度を算出する仕組みで、航空機の速度測定や野球の投球スピード測定にも同じ原理が用いられております。
気象予報
気象の分野では、雨雲や風の動きを観測する際にドップラーレーダーが役立っています。雨粒や雪片からの反射波を分析すれば降水強度を把握でき、風速や風向の測定、竜巻の早期発見にもつながります。正確な天気予報や災害警報に欠かせない技術のひとつです。
医療分野
医療の分野では、超音波診断装置(エコー検査)が血流の速さをドップラー効果によって測定します。胎児の心拍や血流の様子を安全に観察できるため、妊婦健診でも広く用いられています。動脈硬化などによる血管の狭窄を調べる診断にも役立つ技術です。
天体観測
天文学の分野でも、ドップラー効果は欠かせない存在です。星や銀河から届く光の色の変化(赤方偏移・青方偏移)を観測することで、それらが地球から遠ざかっているのか近づいているのかを知ることができます。宇宙の膨張を理解するうえでも、重要な役割を果たしております。
音の高さと防音対策とのつながり
ここまでご紹介したように、ドップラー効果は、音源が動くことによって周波数が変わって聞こえる現象でした。一方、私たちが日々向き合っている工場の騒音は、加工機やコンプレッサー、室外機といった動かない設備から発生し続ける音がほとんどです。動きの有無という違いはありますが、周波数の高低が音の伝わり方や防ぎやすさを左右するという点は、ドップラー効果にも通じるところがあります。
厳密な聴き比べを行ったわけではありませんが、現場で音を体感する中では、低音域が中心の90〜100dB程度の騒音は身体全体に響くように感じることが多く、中高音域が中心の騒音は耳に直接伝わってくるような感覚があります。低い周波数の音ほど壁や窓を透過しやすいこともあり、こうした騒音に関するご相談は比較的多くいただいております。
弊社では、こうした周波数特性を踏まえながら、吸音と遮音を両立させる「一人静」シリーズを中心に防音対策を行っております。周波数と聞こえ方の関係については、下記記事でも詳しく取り上げています。
関連記事:騒音測定時のキーワード~周波数の重み付け特性(A特性・C特性・Z特性)
おわりに
今回は、ジェットコースターや救急車のサイレンを例に、身近に潜む「ドップラー効果」についてご紹介いたしました。音にまつわる現象は、知れば知るほど奥が深く、私たちの防音対策の仕事にも通じる部分が多いと感じております。
騒音や防音対策に関して些細なお悩みがございましたら、現場確認や音響測定からお気軽にご相談いただけます。ぜひ【騒音相談WEBツール】よりお問い合わせください。
