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株式会社静科

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    低周波音と体感振動の基礎知識~防音対策時の3つのアプローチ方法と「一人静シリーズ」の使用例

    みなさんこんにちは、製造部の横山です。

    運動を始めてから早くも1か月が経ちました。自宅には体重計がないため、週に一度、会社の福利厚生を利用して、ジムに通っています。そこで体組成計を使うと、体重が変わらなくても、筋肉量の増加や脂肪量の減少が、数値で確認できるので、日々の努力が形になって見えるのが、とても励みになっています。

    余談はここまでにして。本日のテーマ「低周波音と体感振動」は、耳で聞き取りにくいながら体に影響を与える“見えにくい音”の一つです。ここからは、その特徴と現場での防音対策についてご紹介いたします。

    低周波音とは何か

    低周波音とは、1Hz~100Hz程度の低い周波数帯に属する音を指します。特に20Hz以下は「超低周波音」と呼ばれ、耳で音としてはっきり聞こえにくい一方で、空気の圧力変化として体に伝わる性質があります。そのため耳で聞く音ではなく、体で感じる音とも言われています。

    身近な例で言えば、電車がホームに近づいたときに体へズンと伝わる低い響きや、花火が打ち上がったときに胸に響くドンという感覚が、低周波音に近い体感です。

    周波数帯と音源の例

    • 家庭や日常生活:エアコン室外機や冷蔵庫の「ブーン」という低い唸り(30~80Hz)、大型トラックやバスのアイドリング音(20~100Hz)。
    • 工場や会社:送風機の回転音(30~60Hz)、大型コンプレッサーの駆動音(20~200Hz)

    体感振動との違い

    低周波音と混同されやすいのが体感振動です。振動は、機械や建物そのものが揺れることで、床や壁を通じて体に伝わる現象です。一方で低周波音は空気を介して伝わる波で、耳には聞こえにくくても胸やお腹に圧迫感を与えます。

    日常で例えると、地下鉄が通過するときに床が震える感覚は体感振動、そのとき胸にズンと響く重たい感覚は低周波音です。工場の大型モーターでは、床の揺れ(体感振動)と空気を伝わる圧迫感(低周波音)が同時に起こるため、両者を区別するのは容易ではありません。このため、音響測定と振動測定を組み合わせて原因を特定することが重要です。

    低周波音や体感振動に対する防音対策の考え方と対策例

    低周波音や体感振動を放置すると、作業者の集中力や快適性の低下につながります。頭痛や睡眠障害といった健康への影響を招くこともあり、住宅地に近い工場やオフィスでは近隣住民からの苦情に発展する場合もあります。実際に弊社にも、個人のお客様から企業様まで幅広く、エアコン室外機の低周波音に関するご相談をいただくことが少なくありません。

    防音対策は「発生源」「伝わる経路」「受け手側」の三つに分けて考えると整理しやすくなります。

    1. 発生源対策:コンプレッサーや送風機に防振ゴムを設置、回転数制御を実施
       例:防振パッドを機械脚部に置いて揺れを軽減
    2. 伝播経路対策:防音壁や遮音壁を設置、必要に応じてサイレンサーを導入
       例:遮音シートを壁に追加し低音域の漏れを防止
    3. 受音側対策:作業ブースを吸音パネルで囲い、壁や天井に吸音材を設置
       例:オフィスでは吸音パネルや家具配置を工夫して響きを抑える

    静科の「一人静シリーズ」はこれら三つのアプローチに柔軟に対応できます。特に「一人静 タイプL」は低音域に強く、大型機械対策にも適しています。省スペースに適した「タイプL薄型」も用意しており、導入現場では「作業中に会話ができるようになった」との評価をいただいています。

    今回は低周波音と体感振動の基礎知識、防音対策の考え方をご紹介しました。静科では現地調査や音響測定から設計、製作、施工まで一貫対応しており、現場状況や設備に応じた最適なご提案が可能です。小さなご相談からでも承っておりますので、ぜひ弊社の「騒音相談WEBツール」よりお気軽にお問い合わせください。