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株式会社静科

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    2024-02-14

    騒音測定時のキーワード~周波数の重み付け特性(A特性・C特性・Z特性)

    こんにちは。製造部岩崎です。

    今回は、騒音測定時によく使われるキーワード「周波数の重み付け特性」についてお話したいと思います。

    ※2024/2/14「実際の補正値」を追記

    周波数の重み付け特性

    騒音の測定には、音圧レベルの絶対測定が必要となるのですが、聴覚感度は周波数によって異なるため、単純に音圧の実効値を測定するだけでは、聴感的な音の大きさを表すことはできません。

    例えば、同じ音圧レベルの音でも低音域と高音域では、感覚的な音の大きさに差があります。そこで、必要となってくるのが、周波数の重み付け特性となります。

    3種類の特性(A特性、C特性、Z特性)

    周波数の重み付け特性には、A特性、C特性、Z特性の3種類があります。騒音計測定器を使用されたことのある方は、設定画面などでこの文字列を見たことがあるかもしれません。

    A特性について

    中でも騒音測定でよく利用されるのが、A特性です。A特性で測定した値は、人間の感じる音の大きさの感覚に比較的近いことがわかっており、騒音などの評価には、日本だけでなく国際的にもA特性が使われています。

    人間の聴覚は、約1000 Hz以下になってくると徐々に感度が下がり、20 Hzを下回ると聞こえなくなります。同様に、周波音を高くしていった場合についても、徐々に感度が下がり、個人差もありますが20000 Hzを上回ると聞こえなくなります。

    機械による測定では、この人間の感覚に相当する概念がないため、人間に聞こえない低周波から、高周波までを、正確に計測することができます。しかし、「あくまで人間が聞こえなければ音(騒音)として成立しない」という条件が前提としてある場合については、この、A特性を用いて評価することが求められます。

    Z特性について

    一方、Z特性は周波数補正のない平坦な特性を表します。測定した値になにも補正をかけないFLATなデータとなり、音圧レベルの測定や騒音計の出力を、周波数分析する場合などに利用します。

    C特性について

    C特性もZ特性同様、ほぼ平坦な特性ですが、Zと比べると、31.5Hz以下の低い周波数成分と8kHz以上の高い周波数成分の影響を小さくした測定となります。不要な低い周波数成分や、高い周波数成分の多い音の音圧レベルの測定には、C特性を使用します。

    これら3種類の特性(補正)を使い分けることで、よりわかりやすい数値データを得ることができます。

    実際の補正値

    実際にどのくらいの値が補正としてかかるかを、以下の表とグラフに示します。

    周波数(Hz)A特性(dB)C特性(dB)Z特性(dB)
    10-70.4-14.30.0
    12.5-63.4-11.20.0
    16-56.7-8.50.0
    20-50.5-6.20.0
    25-44.7-4.40.0
    31.5-39.4-3.00.0
    40-34.6-2.00.0
    50-30.2-1.30.0
    63-26.2-0.80.0
    80-22.5-0.50.0
    100-19.1-0.30.0
    125-16.1-0.20.0
    160-13.4-0.10.0
    200-10.90.00.0
    250-8.60.00.0
    315-6.60.00.0
    400-4.80.00.0
    500-3.20.00.0
    630-1.90.00.0
    800-0.80.00.0
    10000.00.00.0
    12500.60.00.0
    16001.0-0.10.0
    20001.2-0.20.0
    25001.3-0.30.0
    31501.2-0.50.0
    40001.0-0.80.0
    50000.5-1.30.0
    6300-0.1-2.00.0
    8000-1.1-3.00.0
    10000-2.5-4.40.0
    12500-4.3-6.20.0
    16000-6.6-8.50.0
    20000-9.3-11.20.0
    周波数の重み付け特性(1/3オクターブバンド)
    周波数の重み付け特性(グラフ)

    ここで例として、100Hzの周波数帯で補正値のないZ測定にて90dBの音が出ていた場合のA特性の数値について考えます。上記の表を見ると補正値(黄色い文字)は-19.1dBとなっておりますので、A特性は90-19.1=70.9dBとなることが計算によって導けます。

    騒音測定器を使う際にはこれらの補正値に注意しておかないと、想定していた値とはかけ離れた騒音値が弾き出されてしまう可能性があります。思わぬトラブルに繋がることも懸念されますので、覚えておいて損はありません。

    環境計量士による現場の騒音調査依頼も随時承っております

    弊社でも騒音測定する際には、この特性を使い分けして、データの解析など行っております。

    関連ページ: 音響測定(騒音調査等)

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