複数台の機械がある工場の騒音対策~一番大きい音だけ下げても十分でない理由
製造部岩崎です。弊社でも微力ながら協賛させて頂いているあつぎ鮎まつりの花火大会ですが、今年は猛暑などの気候変動を考慮して10月の開催となるようです。今までは夏休み期間ということもありたくさんの来場者がいましたが、他の行事と被りやすい秋開催でどうなるでしょうか。
さて、本日の記事では「機械が複数台あると騒音はどう変わる?」というテーマでお話したいと思います。
複数台の機械があると、なぜ急にうるさく感じるのか
工場では、ポンプ、ブロワー、コンプレッサー、モーターなど、複数の機械が同時に動いていることが少なくありません。こうした環境では、1台だけが動いているときにはそこまで気にならなくても、2台、3台と増えることで、急に「全体としてうるさい」と感じることがあります。
これは、単純に台数が増えるからだけではありません。実際には、それぞれの機械が出している音が空間の中で重なり合い、耳にはひとまとまりの騒音として入ってくるためです。しかも工場内では、機械音が長時間続くことも多く、音が途切れにくいため、作業者にとってはより負担に感じやすくなります。
そのため、複数台の機械がある現場では、「どの機械が特別に大きいのか」だけを見るのではなく、全体としてどのように音が重なっているかを見ることが大切です。
一番大きい機械だけ対策しても、全体はそこまで下がらない可能性も
複数台の機械がある環境では、最も大きい音を出している機械が、たしかに全体の騒音に大きく影響します。ですが、ここで注意したいのは、その機械だけが全体を決めているわけではないという点です。
たとえば、一番大きい音を出している機械に防音対策をして、その機械単体で20dBの低減が得られたとします。個別に見れば非常に大きな改善ですが、現場全体の騒音は、そのまま20dB下がるわけではありません。なぜなら、その時点で二番目に大きい音を出している機械が、新たな主音源として残るからです。
言い換えると、複数音源がある現場では、最大音源だけを大きく下げても、全体の騒音は次に大きい音源のレベルより大きくは下がりにくいということです。対策後に「思ったほど静かにならない」と感じる場合は、防音が効いていないのではなく、別の音源が目立つようになったと考えるほうが正確です。
この考え方は、騒音対策の計画を立てるうえで非常に重要です。どの機械を優先して対策するかだけでなく、その次に残る音が何かまで見ておかないと、全体としての着地点を誤解しやすくなります。
工場では反射や配置の影響でさらに複雑に
工場の騒音が難しいのは、単に複数台の音が足し合わさるだけではないからです。実際の現場では、壁、床、天井、シャッター、設備外装など、硬い面が多く、音が反射しやすい環境になっていることがあります。そのため、機械から直接届く音だけでなく、反射した音も重なって、より騒がしく感じられることがあります。
また、機械同士の配置も重要です。壁際や角に寄っている設備、近接して並んだ設備、同じ方向へ音が放射される設備などは、音が集中しやすくなります。さらに、ポンプの運転音、ブロワーの風切り音、モーターのうなり音、配管や架台の振動音など、性質の異なる音が同時に存在すると、現場全体としてはより複雑で耳につきやすい騒音になります。
そのため、複数台の機械がある現場では、「この1台だけ対策すれば終わり」と考えるより、主音源と次点音源、さらに反射や配置の影響まで含めて全体を見ることが大切です。
全体を見て対策することの重要性
複数台の機械がある工場では、騒音対策も工場全体の音の構成を見ながら考える必要があります。まずは、どの機械が最も大きい音を出しているのか、その次に大きい音は何かを整理し、対策後にどの音が残るのかまで見通しておくことが大切です。
場合によっては、最大音源への防音カバーだけでなく、周辺機器への追加対策、防音壁の設置、反射音を抑える工夫などを組み合わせたほうが、全体としての改善が分かりやすくなることもあります。つまり、防音対策は「一番うるさい機械を下げれば終わり」ではなく、残る音まで含めて設計することが重要です。
実際に静科では、富山県での屋外ポンプ騒音対策事例として、合計17台のポンプのうち9台を対象に、防音カバーを設置したケースがあります。現場では1台あたりの音はそれほど大きくない一方、複数台が同時に稼働することで音が重なり、騒音問題につながっていたと説明されています。対策では、3台ずつを基礎単位でまとめて、一人静タイプL仕様の背面開口4面体防音カバーを設置し、施工後の評価では約15dBの低減が確認されました。敷地境界方向への遮音を重視しつつ、背面開口で通気性も確保しており、熱ごもりにも配慮した設計となっています。
複数台の機械がある場合の対策イメージをより具体的に知りたい方は、こちらの事例もぜひご覧ください。
「屋外ポンプ9台の騒音対策@富山県~『一人静タイプL』仕様の4面体防音カバー(背面開口)で約15㏈低減に成功」
機械騒音でお困りの際は、1台ごとの音だけでなく、複数台が重なったときの全体像を整理することが、より効果的な対策への第一歩になります。静科では、現場条件や設備構成に合わせた防音カバー・防音壁のご提案を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
