工場敷地内の大型送風機の騒音測定〜精密騒音計×音響可視化カメラで無駄のない防音工事を
こんにちは、ソリューション事業部の山田です。
梅雨の時期に入り、気温の寒暖差が大きくなってきました。私自身も体調を崩してしまいましたが、季節の変わり目はほぼ毎回風邪を引いているので、今後はさらに体調管理に気を付けていきたいと思います。皆さまもどうかお気をつけください。
さて今回は、敷地境界線における騒音問題の原因調査として、精密騒音計による騒音測定と音響可視化カメラを組み合わせた調査を実施した案件をご紹介します。「数値で測るだけでは分からない」騒音問題の本質に迫った事例として、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
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今回の調査背景──「どこから音が来ているのか」が分からない
工場やプラント施設では、稼働する設備が多岐にわたります。そのため、敷地境界線付近で騒音が確認されたとしても、「その音が本当にどの設備から発生しているのか」を特定することは、実はそれほど簡単ではありません。
今回のお客様も、敷地境界線付近での騒音を近隣から指摘されたことをきっかけに調査を依頼されました。設備の候補はいくつかあり、どれが主な騒音源なのかを正確に把握したうえで対策を講じたいというご要望でした。弊社では通常、精密騒音計を用いた騒音レベルの測定と周波数分析を基本としていますが、今回はお客様のご希望もあり、可視化カメラによる音源の見える化も合わせて実施することにしました。

精密騒音計による測定結果
調査対象となった設備は、敷地境界線から約50m離れた位置に設置されている大型の屋外送風機です。精密騒音計を用いて各地点での騒音レベルを測定したところ、以下の結果が得られました。
| 測定地点 | 騒音レベル |
|---|---|
| モーター直近(約1m) | 約80dB |
| 設備から約14m地点 | 約63dB |
| 敷地境界線付近(約50m) | 約50dB前後 |
距離が離れるにつれて騒音レベルが低下していることが数値で確認でき、いわゆる距離減衰の効果が表れていることが分かります。
しかし、ここで一つ重要な問いが生まれます。「敷地境界線で観測された約50dBの音は、本当にこの送風機から伝搬してきたものなのか?」という点です。工場敷地内には複数の設備が稼働しているケースも多く、別の設備や周辺環境からの音が混在している可能性も否定できません。騒音計はあくまで「その地点で観測される音の大きさと周波数」を測定するツールであり、音の到来方向を特定する機能はありません。
そこで今回は、可視化カメラを活用した追加調査を実施しました。
音響可視化カメラで「音の流れ」を見える化
音響可視化カメラは、複数のマイクロフォンアレイと画像解析技術を組み合わせることで、音のエネルギーがどの方向から到来しているかを色で視覚的に表示できる機器です。騒音レベルの数値化が得意な精密騒音計とは異なり、「音がどこから来ているのか」を直感的に把握できる点が最大の特徴です。
今回は、敷地境界線付近から対象設備の方向へカメラを向けて撮影を行いました。その結果、対象送風機が設置されている通路部分が赤色で表示され、音のエネルギーがその方向から到達していることを明確に確認できました。
この結果により、「敷地境界線で確認された騒音には、対象送風機の影響が含まれている」ことが視覚的な根拠をもって証明されました。お客様にとっても、数値データだけでなく「目で見て分かる資料」として調査結果をご提示できたことは、納得感の高いご報告につながりました。

騒音計×可視化カメラを組み合わせるメリット
今回の案件を通じて、二つの機器を組み合わせることの有効性が改めて確認できました。それぞれの特徴を整理すると、次のようになります。
精密騒音計の強み
- 騒音レベル(dB)を正確に数値化できる
- 周波数分析により音の性質を把握できる
- 法規制や基準値との比較に必要なデータが取得できる
音響可視化カメラの強み
- 音の到来方向・発生箇所を色で直感的に示せる
- 複数の設備が混在する環境でも音源を絞り込みやすい
- 調査結果を視覚的に説明でき、関係者への共有がしやすい
特に工場やプラント設備では、送風機・ポンプ・コンプレッサー・モーター・インバーター・発電機・大型室外機など、多数の騒音源が同時に稼働しているケースが少なくありません。このような環境では、思い込みで対策を講じると、実際の主音源とは異なる設備に対して防音工事を実施してしまうリスクがあります。
無駄な防音工事は、コストだけでなく時間の損失にもつながります。正確な音源特定を事前に行うことは、効果的かつ経済的な騒音対策の実現において欠かせないステップです。
まとめ
騒音問題の解決には、「数値で捉える」と「目で見る」の両面からのアプローチが有効です。精密騒音計による定量的な測定データと、音響可視化カメラによる直感的な音源特定を組み合わせることで、より正確な原因究明と、無駄のない防音工事の提案が可能になります。
弊社では、騒音測定だけでなく音源特定や周波数分析を含めた総合的な騒音調査にも対応しております。敷地境界線での騒音問題や工場設備の騒音対策をご検討の際は、現地調査からご提案まで一貫してサポートいたします。お気軽に騒音相談WEBツール よりご相談ください。