計3台の揚水ポンプの騒音対策@静岡~「一人静 タイプD」採用の防音カバーにより敷地境界線で55dB以下を達成
みなさんこんにちは、製造部の横山です。
先日の健康診断で予想以上に体重が増えていたことにショックを受け、最近は運動の日を増やしつつ、筋トレにも挑戦しています。ダイエットはいつも続かない性格なので、やる気がある今のうちに短期集中で頑張ろうと意気込んでいます。
余談はここまでにして、本記事では、既設揚水ポンプ「SJ型渦巻ポンプ」の騒音に対して、「一人静 タイプD」による床面なし5面体防音カバー対策についてご紹介いたします。
揚水ポンプの稼働音における防音カバーのご対応事例
お客様よりご相談をいただいたのは、工場敷地内にSJ型渦巻ポンプ(品番SJ100X80H630H-e)を3台並べて設置・稼働されているお客様でした。防音対策をされていない状態で長年ご使用されていましたが、近年、ポンプ稼働音について近隣住民の方からご意見をいただくことが増えたそうです。そのような経緯もあり、敷地境界での騒音値を55dB以下に抑えるための対策をご検討される中で、弊社にご相談を頂きました。
初回のお問合せ時には、お客様から現場写真に加え、点検扉の希望箇所や配管の位置を手書きでご記入いただいた資料をご提供頂きました。その資料をもとに、仮の防音カバー図面を作成し、オンラインで一度お打ち合わせを実施し、内容を確認・調整。お客様から正式に対策実施のご承認を頂いた段階で、詳細確認のために現地調査を行う流れとなりました。
現地調査とヒアリングで見えてきたポイント
現地調査では、実際に稼働中の揚水ポンプにて音響測定を行い、周囲環境や音の性質をしっかりと把握いたしました。対象機器であるSJ型渦巻ポンプは、中音域を中心とした300Hz〜5000Hzの音域で稼働しており、1台稼働時の音量は最大76dB、3台同時稼働では最大82dBほどに達していることがわかりました。
図面と照らし合わせながら、点検扉や配管まわりなど設置上のポイントを一つひとつチェックし、設置後の使い勝手が損なわれないよう丁寧に確認を進めていきました。また、打ち合わせの中で「防音カバー越しに内部が見える小窓があれば便利」とのお声をいただきましたので、透明性と耐久性に優れたポリカーボネート製の小窓をオプションとしてご提案いたしました。
防音カバーの仕様と設計上の工夫
今回製作した防音カバーは、お客様が熱こもりを懸念されていたこともあり「一人静 タイプD」を採用し、床面のない五面体構造の防音カバーを設計いたしました。外形寸法はW3,200×D1,500×H820mmで、3台のポンプをまるごと一括で囲う仕様となっております。製作期間は約3週間ほどで、配管の通り道や排気開口には適切な加工を施し、小窓や点検用の取り外しパネルも組み込んでいます。
設計上の工夫としては、3台まとめて囲うことで、1台ずつ対応するよりも製作や設置にかかる時間とコストを抑えつつ、内部の空間をしっかり確保できる点がポイントです。この広い内部空間は、機器から発せられる熱をこもりにくくする効果もございます。点検が必要な箇所は主にポンプの上部でしたので、天井面に取り外し可能なパネルを設けることで対応いたしました。背面の配管の干渉を避ける形状とすることで、全体の防音性能を保ちながら、スムーズな設置を実現しています。

防音カバー仕様
- 使用パネル:一人静 タイプD
- 寸法:W3,200×D1,500×H820mm
- 製作期間:約3週間
- 防音カバー仕様:排気開口+消音カバー、配管用開口、小窓
工場での仮組みと防音効果の確認
防音カバーの設置は、弊社の作業スタッフ3名にて行い、搬入から組み立て・完了までおよそ3時間という施工となりました。現場の状況や機器の配置にも柔軟に対応し、できる限りお客様の業務に支障が出ないよう配慮して作業を進めました。
設置完了後には、改めて音響測定を行い、防音の効果を確認いたしました。ポンプの近くでは、施工前の79.0dBから67.0dBへと音が下がり、敷地境界では60.7dBから53.2dBと、目標としていた55dB以下をしっかりとクリアできました。現場ご担当者様からは「実際の音の感じ方が想像以上に静かになり、目標値も問題なく達成できて安心しました」とのご感想を頂戴しました。


今回は、揚水ポンプ「SJ型渦巻ポンプ」に対する防音カバー施工事例をご紹介いたしました。弊社では、防音に関するご相談から「現地調査・音響測定・設計・製作・施工」までを一貫して承っております。些細な内容でも構いませんので、「少し音が気になる」「設置スペースが限られている」といったご相談にも丁寧に対応させていただきます。まずはお気軽にご相談ください。騒音相談WEBツールからのお問い合わせも、ぜひご利用いただければと存じます。