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株式会社静科

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    軽くて静かな「一人静パネル」の設計~ハニカム構造と発泡樹脂充填による内部構造がもたらす効果

    皆様こんにちは。製造部の大澤です。今回は「一人静パネルの内部構造」についてお話します。

    防音対策において、パネルの性能を左右するのは表面材だけではありません。むしろ、その効果の多くは内部構造の設計思想によって決まります。一人静パネルでは、内部にハニカム構造を採用し、さらにそのセル内部に発泡樹脂を充填することで、遮音性・吸音性・耐久性を高い次元で両立しています。

    ハニカム構造の役割:軽量なのに高剛性

    ハニカム構造とは、ハチの巣状の六角形セルを連続させた構造で、少ない材料でも高い剛性を得られることが特長です。この構造を芯材として使用することで、パネル全体の面外剛性が向上し、音による振動やたわみを抑制します。

    防音パネルは、音を遮るだけでなく、パネル自体が振動しにくいことが非常に重要です。パネルが振動すると、そこから二次的に音が放射され、体感として「まだうるさい」「鳴っている感じがする」といった印象につながります。ハニカム構造は、この“鳴り”の原因となる変形や共振を抑える基礎性能を担っています。

    発泡樹脂充填の重点:吸音と共鳴抑制で特性を安定

    一方で、ハニカム構造が中空のままだと、セル内部の空間が条件によって共鳴し、特定の周波数で音が強調されてしまう場合があります。そこで一人静パネルでは、ハニカムセル内部に発泡樹脂を充填する設計を採用しています。

    発泡樹脂は内部に無数の微細な空気層を持つため、音が通過する際に空気層との摩擦が生じ、音エネルギーが熱へと変換されながら減衰します。つまり、ハニカム構造の「剛性(遮音・制振)」に対して、発泡樹脂は「吸音」の役割を担います。

    さらに重要なのは、発泡樹脂を充填することでセル内部の空洞が安定し、空洞共鳴(特定周波数の強調)を抑えられる点です。送風機や機械設備など、低音〜中音域の連続音が発生する環境ではここが体感差として現れやすく、結果として「音が丸くなる」「会話がしやすい」といった評価につながりやすくなります。

    組み合わせの効果:ビビり音抑制・長期安定・施工性

    ハニカム構造と発泡樹脂充填を組み合わせることで、単一構造では得にくい総合性能が実現します。発泡樹脂は吸音だけでなく、芯材内部を支える役割も果たすため、パネルの剛性がさらに高まり、ビビり音や二次的な振動音の発生を抑制します。また、長期間使用する設備周りでは、経年による緩みや劣化が防音性能低下の原因になることがありますが、内部構造が安定しているほど、性能を維持しやすくなります。

    加えて、この方式は「重さに頼る防音」と比べて重量増加を抑えやすく、施工性・取り回し・メンテナンス性の面でも有利です。現場での取り外しや点検が必要なケースでも、運用しやすい設計といえます。

    まとめ

    一人静パネルは、ハニカム構造で「振動しにくい骨格」をつくり、発泡樹脂充填で「吸音と共鳴抑制」を加えることで、現場で体感できる静音化を狙った設計です。「ただ厚くする」「ただ重くする」ではなく、振動と音の伝わり方そのものを制御するのが、この構造の狙いです。見えない内部構造にこそ、性能を支える工夫が詰まっています。

    弊社では、現場状況に合わせた防音工事や音響測定から、「一人静パネル」を中心とした防音素材の設置まで一貫したご提案を行っております。些細なご相談からでも承りますので、「騒音相談WEBツール」より、お気軽にお問い合わせください。