人が「うるさい」と感じる周波数帯域と心理的ストレスを感じる理由~防音対策は「周波数を見る時代」へ
皆様こんにちは。製造部の大澤です。
騒音対策の現場でよく耳にするのが、「数値上は大したことないのに、なんだかうるさく感じるんだよね」という声です。不思議なことに、人は決して“音量の大きさだけ”でうるささを判断しているわけではありません。そのカギとなるのが 音の周波数(Hz) です。今回は周波数の違いによる感じ方について軽く解説いたします。
人の耳が最も敏感な“500〜1000Hz帯”
人間の聴覚は、すべての周波数を均一に聞き取れるわけではなく、“感度の高い帯域”が存在します。
特に敏感なのが 500〜1000Hz付近。
この帯域は、人の会話の母音(あ・い・う・え・お)が集中する、いわば 「人が生きていく上で重要な音域」です。そのため、進化の過程でこの周波数帯に反応しやすくなったと言われています。つまり、同じ音量でも
- 200Hzの低音 → 「なんとなく気になる」程度
- 800Hzの中音 → 「うるさい」「響く」「耳につく」
と感じ方が大きく変わるのです。
だから工場の機械音は“耳に残る”
工場で良く聞こえる音の例として次のようなものがあります。
- ファン・送風機の風切り音
- モーターの回転音
- ポンプの振動音
- ベルトやローラーの摩擦音
これらの多くは 500〜1500Hz付近にピークを持ちます。特に送風機は、羽根枚数や回転数によって“耳につく中音”が出やすい機器です。この帯域が強い騒音は、
- 会話が聞き取りにくい
- 頭が疲れやすい
- 音が遠くまで飛ぶ
といった形で、作業環境に影響が出やすくなります。
なぜ“心理的ストレス”まで感じるのか?
500〜1000Hz帯の音は、脳が「重要な情報かもしれない」と判断しやすいため、無意識のうちに注意が向いてしまいます。
その結果、
- 集中力が切れる
- ストレスを感じる
- 疲労感が増す
といった症状が出やすいのです。実際、騒音対策の現場では「低音は我慢できるけど、中音は耐えられない」という声が非常に多く聞かれます。
防音対策は“周波数を見る時代”へ
現代の騒音対策は、単純に音量(dB)を下げるだけでは不十分です。どの周波数が問題なのかを見極めることで、初めて正しい対策ができます。
例えば:
- 800Hzが強い → “吸音材中心”の対策が有効
- 100Hzの振動音 → “遮音・防振構造”が重要
- 3000Hzの高音 → 密閉型のカバーが効きやすい
静科では、現場の音を詳しく調べて“どの部分がうるさく感じるのか”を明らかにし、その原因に合った対策をご提案しています。
まとめ
“うるささ”は音量だけでなく、耳が最も敏感な周波数帯(500〜1000Hz)に強い音があるかどうかが大きく影響します。もし現場で「妙に耳につく」「会話が聞こえにくい」といった悩みがあれば、その原因は 中音域のピークかもしれません。
音の“性質”を理解することで、より正確で効果的な騒音対策が可能になります。法人お客様は、騒音相談WEBツールより、個人のお客様は、個人お問い合わせフォームより、ご相談くださいませ。尚、個人のお客様は、事前に下記もご確認いただけますと幸いです。
よくあるご質問:騒音測定について / 室外機・エコキュート用防音パネルについて
