Loading...

株式会社静科

ARTICLE

記事詳細

    一人静パネルを用いた壁面取付サイレンサー製作と施工@愛知~排風における騒音を83dB→68.5dBへ低減

    みなさんこんにちは、製造部の横山です。

    今年はこれまで挑戦したことがなかったのですが、スターバックスの福袋抽選に申し込んでみました。存在自体は知っていたものの、以前はそこまでコーヒーを飲む習慣がなかったため、毎年なんとなく見送っていました。ところが今年は飲む機会が増えたこともあり、気になって初めて応募してみることにしました。応募後に「毎年倍率が上がっている」と知り、正直あまり期待はしていなかったのですが、ありがたいことに当選しました。年明けに届く予定ですので、今から楽しみにしています。


    さて今回は、設備更新に伴って発生した工場の騒音問題に対し、弊社の一人静パネルで製作した、「壁面取付サイレンサー」により、騒音値の低減を実現した事例をご紹介いたします。

    設備更新に伴う稼働騒音に対する防音カバー対応事例

    本件は機械名が社外秘となりますが、既存のブロワーを新しいものへ更新したことで、排風量が向上し、その影響で騒音値が上がってしまったケースです。既設のサイレンサーは元々取り付いており、更新前は敷地境界線上の騒音値を、クリアしていました。しかし更新後は、既設サイレンサーだけでは抑えきれず、夜間運転時に、敷地境界線上の騒音値が基準を上回る状況となり、防音対策のご相談を頂戴しました。

    対象の工場地帯における法規制値は、夜間で敷地境界線上60dBではありましたが、お客様では周辺環境への配慮から、自主規制値として55dBを設定されていました。今回はこの55dBを確実に下回ることが目的となります。ご相談後、現場確認と騒音測定を実施したところ、直近1m地点で83dBを確認し、1/3オクターブ分析では、低音域から高音域まで大きな偏りのない特性でした。

    また現場では、既存サイレンサーが取り付いていたガラリ窓部に防虫網があり、定期メンテナンスのため「簡単に出入りできる仕様にしたい」とのご要望がありました。加えて、新規サイレンサー取付時に壁面との隙間が生じ、防音性能が損なわれる懸念もありました。そこで、正面に両開き扉を設けてアクセス性を確保しつつ、取付アングル材と壁面の間にウレタン材を挟み込み、隙間埋めによる遮音性の確保も併せてご提案いたしました。

    防音カバーの仕様と設計上の工夫

    製作したサイレンサーBOXは2基で、製作期間は約2週間です。主な加工内容は、①両開き扉の新設、②壁面取付アングルの製作・取付となります。施工場所に制約がある中で、低音域にも対応しつつスペースを取り過ぎないことが重要でした。

    防音パネルの選定では、「一人静タイプA」や「一人静タイプD」も候補に挙がりましたが、今回は低音域へのアプローチが不足する懸念がありました。一方で、90dB以上のように耳栓が必須となるレベルではないため、過度に厚みのある仕様は、現場条件に合いにくい状況でした。そのため、設置スペースの制約と防音性能の両立を優先し、「一人静 タイプL薄型」を採用しております。

    関連ページ:一人静シリーズ

    両開き扉は、左右扉の上部に密閉用ハンドルを取り付け、開閉を簡易にしながらも密閉性をできる限り確保しました。扉を設けると性能低下が起こりやすいため、隙間管理を丁寧に行い、実用性と消音性能のバランスを取っています。また、壁面との隙間についてはウレタン材を挟み込むことで回り込み音を抑え、敷地境界の騒音低減につながるよう設計しました。

    施工内容と効果測定結果

    ガラリ窓周囲には配管がある都合上、配管を避けながら壁面へ取り付ける必要がありました。サイレンサーBOXは、一人静パネルで製作しているため、1基あたり約80kgの重量物となります。上部はオールアンカーで引っ掛ける仕様、側面はコンクリートビスで振れ止めを行い、施工後の脱落リスクを抑える取り付け方法としました。

    施工時は架台がない状況でしたので、弊社にて、木材を活用した仮架台を現地で作成し、安全を確保しながら作業を進めました。アンカー打設箇所はズレが許容しにくいため、レーザー墨出し器を用いて慎重に位置出しを行い、時間をかけても精度を優先して対応しております。設置後は、下部に架台の設置をお客様側でご検討いただくことで、より強固な支持方法になる点も共有いたしました。

    施工前の状態
    扉開放状態

    取り付け後の効果として、直近1m地点では83dB→68.5dB、敷地境界線上では62.3dB→52.8dBまで低減しました。数値としても明確な改善が確認でき、お客様にもご納得いただくことができました。体感としても従業員の皆様に、施工後の変化をご確認いただき、「排気設備が動いていないのでは、と感じるぐらい静かになった」とのお声をメールにて頂戴しております。

    測定結果を周波数別にてグラフ化

    現場条件に合わせた柔軟設計で騒音問題に対応

    今回のように、設備更新によって排風量が改善する一方で、敷地境界線上の騒音問題が顕在化するケースは少なくありません。静科では、現地調査・騒音測定・設計・製作・施工までを一貫して行い、現場条件や運用(メンテナンス性)も含めた防音対策をご提案しております。

    今回は、壁面取付サイレンサーの製作と施工事例をご紹介いたしました。現場の状況や目標値(敷地境界・夜間運転など)に応じて、最適な防音工事・対策をご提案いたします。小さな違和感やご相談からでも、現場確認や騒音測定を行いながら進められますので、まずは「騒音相談WEBツール」よりお気軽にお問い合わせください。