「一人静タイプL薄型」を用いた棒材加工機器の防音カバーの製作@静岡~機器の形状に合わせてスライド&切欠き加工を実施
みなさんこんにちは、製造部の横山です。
年末が近づき、ふと今年の自分を振り返ってみました。例年よりも、新しいことに挑戦できた一年だったように感じます。始めたばかりの頃は大変でしたが、少しずつ習慣にしていくうちに、気付けば日常のルーティンとして続けられるようになってきました。これからも無理のない形で習慣化を意識しながら、いろいろなことに挑戦していきたいと思います。
さて今回は、工場内で稼働している棒材加工機器に対して実施した、「防音カバー」による騒音対策事例についてご紹介いたします。
棒材加工機器の稼働騒音に対する防音カバー対応事例
今回ご相談いただいたのは、既存の棒材加工機器から発生する、稼働騒音についてでした。対象となる機械名については、社外秘のため記載できませんが、すでにアクリルカバーによる対策は行われており、通常稼働時には問題がないものの、砥石による加工工程においては、90dBを超える騒音が発生していました。そのため、当該エリアは耳栓の着用が必要な作業環境となっており、「可能であれば騒音値を85dB以下とし、耳栓を使用せずに作業できる環境にしたい」とのご要望を頂戴しました。
ご相談をお客様から頂いた後、現地にて現場確認と騒音測定を実施しました。測定の結果、機械から直近1m地点で最大96dBを記録し、周波数解析では高音域が主体となる騒音特性であることを確認しています。
現場条件を踏まえた防音仕様の検討と製品選定
防音効果を最大限得るためには、機械全体を覆う防音カバーが、理想的ではありますが、対象機器の周囲には配管や配線が複雑に伸びており、さらに隣接する別機器も設置されていました。そのため、機械全体を囲う構成は難しく、今回は加工機器の部材を搬入・搬出を行う、最低限の開口部を除いた、搬入口・搬出口部分を塞ぐ仕様とすることで、作業性を大きく変えずに、防音効果を得る設計としました。
また、防音カバーの設置面積には制約があり、設置後に追加工事や、仕様変更を行うことが難しい条件でもありました。そのため、薄型でありながら吸音性能と遮音性能をあわせ持ち、限られたスペースでも高い防音効果を発揮できる製品が求められました。騒音特性としては高音域が主体であったため、通常であれば「一人静 タイプA」をご提案するケースもありますが、今回は吸音面積が限られることを考慮し、遮音性能も強化された「一人静 タイプL薄型」を採用し、防音カバーの製作をご提案しました。
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防音カバーの仕様と設計上の工夫
今回製作した防音カバーは全5点で、製作期間は約2週間となりました。加工内容としては、切欠き加工およびスライド加工を行い、対象機器の形状に合わせた調整を施しています。
取付面は水平・垂直面だけでなく、斜め形状の部分も含まれていたため、事前にお客様へ角度を確認し、角度を反映したパネル形状としました。機器形状に合わせて加工することで、設置後の隙間発生を極力抑え、密閉性を確保することで、防音性能が最大限発揮できる仕様としています。
また、スライド機構を設ける箇所については、弊社標準の端面補強枠材では対応が難しかったため、希望形状に合わせた板金材を採用しました。板金材を用いることで、ジグソー等による加工と比べ寸法誤差を抑えることができ、今回はお客様のご指定によりステンレス材にて製作・取付を行っています。

現場条件に合わせた柔軟設計で騒音問題に対応
株式会社静科では、現地調査・騒音測定・設計・製作・施工までを一貫して対応しております。今回のように、設置スペースや既存設備の制約がある現場においても、条件に応じた製品選定と設計を行うことで、作業環境の改善につなげることが可能です。
今回は、既存機械に取り付ける仕様の防音カバーをご紹介いたしました。音問題でお困りの際は、些細な内容でも構いませんので、ぜひ一度ご相談ください。現場状況に応じた最適な防音対策をご提案いたしますので、「騒音相談WEBツール」よりお気軽にお問い合わせいただければと存じます。
