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株式会社静科

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    精密機器メーカー工場内のチラーの騒音対策@東京都~作業性と放熱性を高めた正面開き構造の防音カバーを製作

    皆さん、こんにちは。製造部のヅアンです。

    最近はだんだん寒くなってきましたね。朝晩は特に冷えて、布団から出るのが少しつらくなりました。季節の変わり目なので、体調を崩さないように気をつけたいです。そろそろコートの出番かもしれません。

    さて、本日は工場内で使用されている「チラー機器用の防音カバー」をご紹介します。 以前は天板が開閉できるタイプをご紹介しましたが、今回は正面開き構造を採用し、作業効率とメンテナンス性を高めた設計となっています。

    関連記事:メンテナンス性と放熱性に優れた「チラー用防音カバ」ーの製作~作業時の負担軽減や環境改善に貢献

    お客様の課題とご希望

    今回ご依頼をいただいたのは、東京都にある精密機器メーカー様です。 工場内で使用されているチラーの運転音が大きく、近くで作業を行う従業員からは「作業中に会話がしづらい」「集中しにくい」といった声が上がっていました。 お客様は以前から防音対策を検討されており、弊社のホームページで防音ボックスの製作事例をご覧になったことをきっかけに、お問い合わせをいただきました。

    当初は「できるだけコンパクトに設置したい」「メンテナンスがしやすい構造にしたい」といったご要望をいただきました。 さらに、「正面から扉を開けて作業できるようにしたい」「チラーの操作パネルと水位が確認できる構造にしてほしい」という具体的なご希望もありました。

    これらのご要望をもとに、現場で寸法や運転状況を確認し、最適な構造を検討いたしました。 その後、設計図を作成し、お客様の承認をいただいたうえで、防音カバーを製作いたしました。

    設計のポイント~放熱性と作業性の両立

    今回のテーマは「放熱性と作業性の両立」です。 前回の上開き構造は、上方向からの点検作業には適していましたが、設置場所によっては上部スペースが限られ、作業がしにくいという課題がありました。

    そこで今回は、正面から扉を開けて点検できる構造を採用。 狭いスペースでも開閉しやすく、内部の機器へ直接アクセスできるよう工夫しました。 扉には小さな覗き窓を設けており、作業中でも機器の状態を確認できるよう工夫しています。

    扉の開閉は軽く、スムーズに操作できる設計になっており、日常の点検やフィルター清掃などの保守点検作業がより効率的に行える設計になっています。

    また、内部には熱伝導性に優れた「一人静タイプD」を使用しており、防音性能と放熱性能を両立させています。 前面下部に吸気ファン、背面上部に排気ファンを設置することで、カバー内部の空気の流れを確保し、内部の熱がこもることなくチラー機器の安定稼働をサポートします。

    防音カバー仕様

    • 使用素材:「一人静タイプD」、床なし5面体
    • サイズ:W557mm × D820mm × H890mm
    • 正面:開閉式の扉、下部に吸気口+ファン、天板背面側に排気口+ファン
    • 背面:配管用開口×2ヶ所
    • 製作期間:2週間
    防音カバー正面
    防音カバー裏面

    防音カバーを設置した結果

    チラーの稼働音は10〜12db低減され、工場内の作業環境がより快適になりました。 作業者は集中力を保ちながら作業でき、長時間の稼働でも負担が軽減されます。 また、騒音の拡散が抑えられることで、周囲環境への影響も低減され、他の設備や作業者への影響も最小限に抑えられました。

    今回の防音カバー設計は、限られたスペースでも扱いやすく、放熱と防音を両立した実用的な構造となっています。今後も、現場のニーズに合わせた柔軟な設計提案を行っていきたいと思います。 防音や防振でお悩みの際は、お気軽に騒音相談WEBツールよりご相談ください。