送風機の騒音対策@山口県~「一人静 タイプL薄型」を採用した5面体防音カバーにて20dB低減に成功
みなさんこんにちは、製造部の横山です。
梅雨入りという言葉を耳にして、梅雨が明けたら夏本番になりそうだなと、呑気なことを考えていた所、1週間ぐらいで梅雨前線が消滅したニュースを拝見した翌日から、真夏日を通り越して猛暑日が訪れ、身体がついてきていない状態です。
余談はここまでにして、本記事では、工場設備に新規導入された「テクセル製耐蝕送風機 FTF203-B」の稼働に伴い発生した騒音に対して、当社の「一人静 タイプL薄型」による床面なし5面体防音カバーを設置し、85dBから65dBへと20dB前後の低減を実現した事例をご紹介いたします。
現場確認にて分かる音の実態とご要望
お客様の新設された送風機は、稼働時の騒音が85dB前後と大きく、お客様の社内規定である80dB以下を明らかに上回っておりました。そのため、従業員の健康配慮および作業環境改善の観点から、早急な防音対策が求められた為、弊社にご相談を頂きました。
施工前自社測定にて分かること
現地確認において、当社では日本工業規格 JIS Z8731「環境騒音の表示・測定方法」に準拠した騒音測定を実施しました。測定にはリオン社製 騒音計NA-28を用い、以下の手順にて行いました。
- 測定項目:①等価騒音レベル(LAeq)、②最大騒音値(Lmax)、③1/3オクターブバンド周波数分析
- 測定方法:各測定点で30秒間連続測定し、常騒音(他設備からの音)と識別されるデータは除外
- 測定結果:主に**低音域から中音域(125Hz~1kHz)**にかけて騒音値が大きいことが確認されました
また、作業員様からは「排気効率とメンテナンス性を確保したい」との明確なご要望があり、設計上のポイントとして反映しました。
防音と保守性の両立:現場ニーズに応えた3つの工夫
設置した防音カバーは、W1,500×D1,200×H1,100mmの床面なし5面体構造で、「遮音性」「排気処理」「メンテナンス対応」を工夫し、お客様のご要望に合わせた設計です。
①消音フード付き排気開口
送風機モーター側に開口を設け、そこに一人静とボンデ鋼鈑を加工した、消音フードを取り付けました。自然排気を前提としつつ、必要に応じて後付けファンを増設できるように開口寸法と内部離隔も考慮しています。
②マグネット式小扉で定期操作もスムーズに
送風機側バルブの正面部には、作業性向上のためマグネット開閉式の小扉を設置しました。週1回程度の操作が必要なバルブに対して、工具不要で即時アクセスできる仕様となってます。
③取手付きパネルで保守時の分解性を向上
背面・側面・天面の各パネルにはステンレス製取手を設け、定期的な点検時の着脱が簡便になるよう配慮。これにより月次・年次メンテナンス時の負担を軽減し、現場対応のしやすさを高めています。
防音カバー仕様
- 使用パネル:一人静 タイプL薄型
- 寸法:W1,500×D1,200×H1,100mm
- 製作期間:2週間
- 防音カバー仕様:排気開口+消音カバー、配管用開口、小扉、取手




施工後、体感でわかる音の変化
防音カバーの設置作業は、当社従業員2名で実施し、約3時間で施工を完了しました。設置後に再度測定を行った結果、送風機稼働中でも騒音値は約65dBに低減されました。これに対し、お客様の現場担当者様からは「設置前は隣の人と会話もできないほどの騒音だったが、設置後は会話できるほどに音が下がり、効果を実感できた。」というお声も頂けました。
今回は、送風機に対する防音カバー施工事例をご紹介いたしました。送風機をはじめ、コンプレッサー・粉砕機など、工場内には多くの騒音発生源が存在します。音の発生源や周囲の状況、作業内容に応じて、最適な防音方法は変わります。
当社では、現場確認から騒音測定・設計・施工まで一貫対応し、それぞれの状況に合わせたカスタマイズ対応を得意としております。些細なご相談からでもお気軽にいただければと存じます。騒音相談WEBツールより、お問い合わせください。
