工場の騒音対策を後回しにすると増える3つのリスク~近隣苦情・作業環境への影響・対策費の負担
皆様こんにちは、製造部の大澤です。
工場では、モーターやコンプレッサー、ブロワー、集塵機など、さまざまな設備から音が発生しています。
設備を導入した直後から騒音問題になるケースもありますが、
「以前からこの音で稼働しているから問題ない」
「まだ近隣から苦情が来ていないので、対策は急がなくてもよい」
「防音工事は費用がかかるので、問題が起きてから考えたい」
という判断になることもあるかと思います。
もちろん、すべての設備に防音対策が必要というわけではありません。
一方で、工場騒音は問題が表面化してから対応しようとすると、対策できる期間や方法が限られ、結果として負担が大きくなる場合があります。
今回は、工場の騒音対策を後回しにした場合に考えられる3つのリスクについてご紹介します。
① 近隣からの苦情が出てからでは対応を急ぐことになる
工場外へ伝わる騒音で特に注意したいのが、近隣住宅や周辺施設への影響です。
現在まで苦情がなかった設備でも、今後も問題が起こらないとは限りません。
例えば、
・設備の老朽化によって運転音が大きくなった
・生産量が増え、設備の稼働時間が長くなった
・夜間や早朝にも稼働するようになった
・工場周辺に新しい住宅が建った
・周辺の建物がなくなり、音の伝わり方が変化した
など、工場側または周辺環境の変化によって、これまで気にならなかった音が目立つようになることがあります。
特に夜間は、交通量や周囲の活動音が減少し、昼間には目立たなかった設備音が聞こえやすくなるケースもあります。
近隣から実際に苦情が入ると、
「できるだけ早く改善したい」
という状況になります。
しかし、防音工事は設備の寸法や騒音の周波数、設置スペース、換気、施工方法などを確認しながら仕様を決めるため、必ずしもすぐに工事できるとは限りません。
まず騒音を測定し、どの設備からどのような音が発生しているのかを確認したうえで、防音壁や防音カバーなどの対策を検討していきます。
問題が起きる前の段階で騒音の状況を把握しておけば、
・現在どの程度の騒音が出ているのか
・どの設備が主な騒音源なのか
・将来的に対策が必要になりそうか
といった情報を整理できます。
すぐに防音工事を行わない場合でも、現在の状態を把握しておくことで、問題が発生した際の対応を進めやすくなります。
② 従業員にとっては「毎日聞く音」になる
工場騒音というと、敷地境界や近隣への音が注目されることがありますが、実際には工場内で働く方への影響も考える必要があります。
近隣住宅では設備から数十m離れていても、作業者は設備から数m以内で仕事をしている場合があります。
さらに、一時的に聞く音ではなく、
1日数時間
↓
週5日
↓
何年も継続
という環境になることもあります。
そのため、設備周辺の騒音が大きい場合には、作業環境としても確認しておきたいところです。
騒音の大きな環境では、
・会話や指示が聞き取りにくい
・設備の異常音に気付きにくい
・作業中に疲労を感じやすくなる
・耳栓などの保護具が必要になる
といった影響が生じることがあります。
特に工場では、作業者同士の声掛けや設備の音から異常を判断することもあります。
周囲の騒音が大きいことで必要な音まで聞き取りにくくなれば、単に「うるさい」という問題だけでは済まない場合もあります。
工場内の騒音対策では、設備全体を大きな防音室で囲う方法だけではありません。
例えば、
・作業者側だけに防音壁を設置する
・騒音源となっている部分だけを囲う
・複数設備をまとめて防音する
・設備近くで音が広がる前に遮る
など、現場の作業方法に合わせて対策できる場合があります。
設備の騒音を低減することで、作業者が長時間過ごす環境そのものを改善できる可能性があります。
③ 問題が大きくなるほど対策の選択肢が少なくなる
騒音対策を早い段階で検討するメリットの一つが、対策方法を比較できることです。
例えば、まだ設備の設置計画段階であれば、
・設備を敷地境界から離す
・建物を遮蔽物として利用できる位置へ配置する
・騒音の強い方向を住宅側へ向けない
・防音壁を設置できるスペースを確保する
など、防音パネルを設置する前にできることもあります。
一方、設備がすでに設置され、配管や電気配線まで完成している場合には、設備そのものを移動することが難しくなります。
さらに、近隣から早急な改善を求められている状況では、
「設備を移設する」
「次回の設備更新時まで待つ」
といった方法を選べず、限られたスペースの中で防音壁や防音カバーを設置する必要が出てくることがあります。
その結果、
・設備全体を囲う必要がある
・大きな防音壁が必要になる
・換気設備を追加する
・既存配管を避けた複雑な加工が必要になる
など、対策が大掛かりになる場合があります。
騒音対策は、「問題が起きたら壁を立てればよい」というものではありません。
問題が小さい段階であれば、設備配置の変更や部分的な防音など、比較的シンプルな方法を検討できるケースもあります。
早めに状況を確認しておくことで、費用や施工範囲を含めた複数の選択肢から対策を選びやすくなります。
「まだ問題になっていない段階」で確認することにも意味がある
防音対策というと、
「騒音が基準値を超えたから行う」
「苦情が出たから行う」
というイメージがあるかもしれません。
しかし実際には、問題になる前に現在の状況だけ確認しておくこともできます。
例えば、
「設備更新で大型の機械を導入する」
「今後、生産量を増やす予定がある」
「夜間稼働を始める可能性がある」
「工場の近くに住宅が増えてきた」
といった場合には、将来的な騒音リスクを確認しておくことも一つの方法です。
現時点では対策が必要ないという結果になるかもしれません。
それでも、
「現在は何dBなのか」
「どの設備が大きな音を出しているのか」
という情報があれば、将来的に設備や稼働条件が変わった際の比較材料になります。
一人静シリーズを使った騒音対策
一人静シリーズは、工場内の設備騒音から屋外の敷地境界対策まで、さまざまな形で使用されています。
例えば、
・設備単体を囲う防音カバー
・作業者側への防音壁
・屋外設備周辺の防音壁
・工場建屋から外へ伝わる音への対策
など、騒音が問題になっている場所に合わせて構造を検討できます。
また、工場設備では騒音だけを見ることはできません。
設備を囲う場合には、
・発熱
・換気
・配管
・ケーブル
・メンテナンス
・設備の操作方法
なども考慮する必要があります。
一人静シリーズは薄型・軽量で、設備に合わせた加工がしやすいため、既存工場へ後から騒音対策を追加する場合にも、現場条件に合わせた設計が可能です。
すべての設備を大掛かりに囲うのではなく、現地の騒音状況を確認しながら、必要な部分に必要な対策を行うことが、費用を含めた現実的な改善につながります。
関連ページ:一人静シリーズ(工業用)
まとめ
工場の騒音問題は、問題が起きてから初めて対策を考えることもできます。
一方で、対策を後回しにすることで、
・近隣から苦情が出て、短期間で対応する必要が出てくる
・従業員が長期間騒音にさらされる
・設備設置後では選べる対策方法が限られてしまう
といったリスクが増える可能性があります。
騒音対策は、必ずしもすぐに防音工事を行うことから始める必要はありません。
まず現在の騒音を測定し、「今どの程度の状態なのか」を把握しておくだけでも、今後の設備更新や生産計画を考える材料になります。
特に、設備の増設、稼働時間の延長、夜間操業などを予定している場合には、問題が起きる前に一度騒音状況を確認しておくことで、対策の選択肢を広げやすくなります。
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