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株式会社静科

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    コンベア式粉砕機の騒音対策~トンネル型防音パーティションを製作

    こんにちは、製造部岩崎です。

    最近会社の部署内で新しい図面ソフトの導入があり、移行に向けて色々と調べながら対応しております。以前のソフトと比較するとやれることが増えた一方で覚える事も増えたので、今年はスキル習得に向けて取り組む予定です。

    さて、本日の記事では「コンベア式粉砕機の防音対策事例」をご紹介したいと思います。

    コンベア式粉砕機の騒音

    工場内で広く使用されているコンベア式粉砕機。原料を連続的に投入・粉砕し、排出まで自動で行えるため、生産効率の面では非常に優れた設備です。一方で、騒音面ではいくつかの特徴があります。

    粉砕時に発生する衝撃音や破砕音は、比較的エネルギーの大きい中低音域が中心となり、そこにコンベアの駆動音、モーター音、フレーム振動音が重なります。連続運転であることから音が途切れにくく、作業エリア全体に広がりやすいのも特徴です。

    そのため、

    ・作業員同士の会話がしづらい
    ・電話応対時に声を張らなければならない
    ・工場内の騒音環境改善を求められている

    といったご相談をいただくケースが少なくありません。

    また、レール状に機械が伸びているため、完全に囲って対策することが難しいといった特徴があります。

    設計前のお客様のご要望・お悩み

    今回ご相談いただいたお客様からは、粉砕機の稼働中に周囲の作業者同士の会話が聞き取りづらく、現場での指示伝達に支障が出ることがある、というお悩みがありました。さらに、設備の近くを通る際に騒音の圧迫感が強く、長時間その周辺で作業する担当者の負担も気になっていたとのことです。

    一方で、単純に設備全体を囲ってしまうと、原料の投入や搬送の流れを妨げてしまうおそれがあり、日常点検や清掃、メンテナンスのしやすさも損なわれます。そのためお客様としては、「できるだけ音を下げたいが、作業性は落としたくない」という点を重視されていました。

    また、将来的に設備の配置変更の可能性もあるため、現場に固定されすぎない構造であることも重要な条件でした。防音性能だけを追求するのではなく、実際の運用に合わせて無理なく使い続けられることが、今回の設計の大きなポイントとなりました。

    トンネル型(3面体)防音パーティションの製作

    今回当社が製作・納品したのが、写真のトンネル型(3面体)防音パーティションです。

    粉砕機およびコンベアラインに沿って、上部と両側面を囲う構造とし、正面・背面は開口を確保しています。設備全体を密閉するのではなく、「音の広がりを抑えること」に主眼を置いた設計です。

    この方式のメリットは、

    ・作業性を確保しやすい
    ・材料搬送を妨げない
    ・メンテナンスアクセスを確保できる
    ・将来的なレイアウト変更に対応しやすい

    といった点にあります。

    設計はお客様との図面上でのやりとりの中で行い、コンベア高さや作業導線を確認した上で寸法を決定。パネルは分割構造とし、搬入・設置のしやすさも考慮しました。

    また、床固定ではなく自立架台(キャスター)方式を採用し、必要に応じて移設可能な仕様としています。防音効果を高めるためには騒音源をできるだけ囲うことが理想ではありますが、現場によっては「囲いすぎない」ことが求められるケースも多いです。

    防音カバーの仕様詳細

    今回の防音パーティションでは、遮音性能と扱いやすさのバランスを考えた防音パネルを選定しました。中低音域の音に配慮し、ある程度の面密度を持たせながらも、現場での組立や移設がしやすいよう分割式の構造としています。サイズは粉砕機とコンベアの全長、投入・排出位置、作業者の動線を踏まえて設定し、必要な開口を確保しながら音の漏れやすい方向を重点的に抑えるレイアウトとしました。

    オプションとしては、移動のしやすいキャスターのほか、点検時に一部を取り外しやすい構造や、現場状況に応じた開口調整などにも対応しています。使用環境によっては視認性や安全性への配慮も必要になるため、今後は窓付き仕様や一部開閉式などを組み合わせるケースも考えられます。

    製作期間については、打合せ・寸法確認・図面調整を経て、比較的短期間で製作を進めることができました。こうした防音対策は大規模な設備更新を伴わずに導入できるため、現場を止める期間をできるだけ短くしたい場合にも取り入れやすい方法です。

    簡易測定で約10dBの防音効果を確認

    社内で簡易的な騒音測定を実施したところ、作業位置において約10dBの低減を確認しました。10dBの低減で体感では半減程度になる、とよく言われますが、騒音レベルは対数スケールであるため、数値以上に体感差があります。

    設備更新を行わず、囲い込み対策のみでここまで改善できるケースは少なくありません。騒音対策は“大掛かりな工事”だけが選択肢ではなく、適切な遮音・吸音設計によっては、今回のようなパーティションを使った現実的な改善が可能です。

    粉砕機やコンベア設備の騒音でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。現場条件に合わせた最適な対策をご提案いたします。