音の反射と吸音について考える~工場で迷子になった鳥の声を事例に~
こんにちは、製造部岩崎です。
先日、私たちの工場に一羽の小さな鳥(おそらくスズメ)が迷い込んできました。天井近くを飛び回るその鳥の鳴き声が、コンクリートの壁や金属製の機械に跳ね返り、まるであちこちから声が聞こえるように感じました。結果として、声はすれども姿は見えず、どこにいるのかさっぱりわからない…。最終的には、窓を全開にして放置することで出ていってくれましたが、居場所さえわかれば、もう少し賢く対処できたかもしれません。
今回はこの出来事に絡めて「音の反射と吸音」について考えてみましょう。
音の性質:反射と吸音とは?
音は空気の振動として伝わり、物体に当たると反射します。反射した音は私たちの耳に届き、音源が複数あるかのように錯覚させることもあります。特に、硬くて平らな面では音がよく反射します。反対に、布やスポンジのような柔らかい素材は音を吸収する性質があり、これを「吸音」と呼びます。
吸音材の効果:反射音を抑える技術
私たちの工場のような、広くて硬い構造の建物では、音の反射が強く、声や機械音が響いてしまうことがあります。これにより、音の聞こえ方が不明瞭になったり、必要以上にうるさく感じたりするのです。吸音材を使うことで、こうした反射音を、効果的に抑えることができます。
吸音材は、音波のエネルギーを熱に変換して、内部に取り込むことで、反射を減らします。吸音パネルや吸音スポンジ、吸音シートなど、さまざまな製品が存在し、それぞれ用途に応じて使い分けられます。特に工場のような大空間では、天井や壁に設置することで、騒音レベルの低減や、作業環境の改善が期待できます。
今回の事例で言うと、吸音性能が働くことで、空間内で分散していた鳥の鳴き声のうち、壁に反射して届く音が軽減され、鳥のいる位置からの「直接音」が相対的に明瞭になります。これにより、反射音に紛れて聞こえづらかった鳥の声の出所を、より正確に把握できるようになります。
鳥というユニークな事例をサンプルに挙げましたが、実はこのような現象はさまざまな分野に応用が可能です。例えば、工場内の騒音対策として、作業者同士の声や機械のアラーム音をより聞き取りやすくする目的で吸音材が用いられることがあります。また、音楽ホールや録音スタジオなどの音楽的空間においても、反射音をコントロールすることで、演奏や録音の音質を大きく改善できます。吸音技術は、快適で機能的な音環境をつくるうえで非常に重要な役割を果たしています。
静科でご提供できる吸音製品
静科では様々は吸音製品をご用意しており、用途によってご提案できる製品が変わってきます。
工業系であれば「一人静シリーズ」が効果的です。一般的な吸音材と比べると剛性があり自立可能で、壁材として使ったり、フレームと組み合わせることで箱型にすることも可能です。
関連ページ:一人静シリーズ
音楽系の用途であれば、音響用パネル「SHIZUKA Stillness Panel」シリーズがおすすめです。特に、折り畳み式の「SHIZUKA Stillness Panel SDM」は音楽関係のプロの方から一般の方まで、理想の音を求める幅広い層の方々にご好評いただいております。
関連リンク(SSP特設サイト):SHIZUKA Stillness Panel / SHIZUKA Stillness Panel SDM
個人宅など、狭い範囲でのご利用であれば「一人静シリーズ」の中でも取り扱いの簡単な「一人静 Esprit(エスプリ)」「一人静 Esprit Life」や、屋内の吸音に特化した「SHIZUKA Graceシリーズ」がご提案できます。
関連ページ:SHIZUKA Graceシリーズ
音のお悩み内容によって最適な製品も変わってきますので、まずはお気軽に騒音相談WEBツールよりご相談ください。
まとめ
工場で鳥の声がこだまするという、一見ほほえましい出来事から、音の持つ性質と、その制御の重要性をご説明できたかと思います。音環境は、快適さや安全性に大きく関わる要素です。
最近では自宅で録音や配信活動をされる方も増えております。私もたまにyoutubeなどで動画を見るのですが、登録者100万人越えの人気配信者でも、放送環境が整っておらず、音が反響する中で撮影や配信されていることがあります。コンテンツ自体は面白いのに、音質のせいで内容がストレートに伝わってこないこともあり、非常に勿体ないなと思います。
反射音の多い空間に悩んでいる方は、ぜひこの機会に、吸音材の導入を検討してみてはいかがでしょうか。