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株式会社静科

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    船舶エンジン音の騒音対策@神奈川県~施工要らずで7dB低減

    こんにちは、製造部岩崎です。

    今回は、少し珍しい「船舶のエンジン音」の騒音対策事例をご紹介します。

    船舶のエンジンは、航行するために欠かせない設備ですが、運転中には大きな音や振動が発生します。今回のお客様も、エンジンを稼働させると船上での話し声が聞き取りにくくなるほど音が気になり、何か対策ができないかとご相談いただきました。

    しかし、船舶のエンジンルームは非常に限られたスペースです。一般的な機械騒音対策のように、防音パネルでエンジン全体を囲うだけの余裕はありません。

    そこで今回は、「音源を囲う」のではなく、「船上へ伝わる音の経路を抑える」という考え方で対策しました。

    船舶のエンジン音には「空気を伝わる音」と「振動」があります

    エンジンから発生する騒音を考えるとき、まず知っておきたいのが「空気伝搬音」と「固体伝搬音」の違いです。

    空気伝搬音とは、エンジンの燃焼音や機械音などが空気の振動として耳まで届く音です。一方の固体伝搬音は、エンジンの振動が船体や床、フレームなどの構造物を伝わり、その先で再び音として聞こえるものです。

    つまり、同じ「エンジンがうるさい」という悩みでも、実際には複数の伝わり方が混ざっている可能性があります。

    さらに、エンジンルームのような狭く囲われた空間では「反響音」も無視できません。反響音とは、音源から出た音が壁や天井などに当たり、何度も反射しながら空間内に残る音のことです。硬い面に囲まれた空間では音が吸収されにくいため、直接音だけでなく反射した音も重なり、結果として騒音が大きく感じられることがあります。

    今回の対策では、船体を伝わる振動そのものを抑えるのではなく、このうち主にエンジンルーム内を伝わる空気伝搬音と反響音を減らすことを狙いました。

    エンジン全体を囲えない~そこで注目したのが「フタ」でした

    当初はエンジンそのものを防音パネルで囲う方法も検討しました。しかし、エンジンルーム内には十分なスペースがなく、整備性を考えても大掛かりな囲いを追加することは現実的ではありませんでした。

    そこでお客様と現場を確認している中で注目したのが、エンジンルームと船上をつなぐ部分にある3枚のフタです。

    このフタは取り外しが可能だったため、「ここから船上へ伝わっている音を少しでも抑えられないか」と考えました。そこで、フタの裏側に吸音材を取り付け、エンジンルーム内で反射している音を吸収する方法を採用しました。

    使用したのは「一人静 Esprit Life」です。現在の製品仕様では、300×600×厚さ38mmで、カッターによる加工が可能です。裏面に接着シールが付いているため、複雑な工事を行わずに設置できます。中~高音域の吸音に対応する製品として案内しています。

    今回も現場で必要な大きさに合わせて加工し、3枚のフタの裏側へ取り付けました。特別な施工工事は行わず、作業時間は約1時間です。

    ポイントは、単に「吸音材を貼った」ということではありません。

    エンジン全体を囲うスペースがないという制約の中で、船上へ音が伝わりやすい場所を探し、その経路に吸音材を追加したことが今回の対策の特徴です。

    施工前後を測定すると約7dB低減~この数字はどのくらいの差?

    吸音材を取り付けたあと、騒音測定を行ったところ、対策前と比較して約7dBの低減を確認しました。お客様からも「対策前よりかなり下がった」と評価をいただいています。

    では、「7dB下がる」というのは、どのくらいの変化なのでしょうか。

    dB(デシベル)は、音の大きさを単純な足し算で表す数字ではなく、「対数」という考え方で表されています。そのため、100dBから93dBになった場合のように、数字だけを見ると「7しか違わない」と感じても、実際の変化は小さくありません。

    7dB低減すると、音圧は対策前のおよそ45%、音のエネルギーではおよそ20%程度になります。ただし、人間が感じる「うるささ」がそのまま45%や20%になるという意味ではありません。人の聞こえ方は周波数や周囲の環境によっても変わるためです。

    今回の元記事でも、実際に耳で聞いて静かになったことが分かる程度の変化として紹介しています。

    また、今回の結果から「吸音材を貼ればどのエンジンでも7dB下がる」とは限りません。騒音の主な原因が船体を伝わる固体伝搬音だった場合には、吸音材だけでは十分な効果が得られず、防振ゴムなどを用いた振動対策が必要になることもあります。

    ここが、騒音対策で「何が音源なのか」「どの経路で届いているのか」を確認することが重要な理由です。

    大掛かりな防音工事ができない場所でも、対策方法はあります

    今回の事例では、エンジンルームが狭く、一般的な防音カバーを設置することができませんでした。

    それでも、「防音カバーを置けないから何もできない」と考えるのではなく、音が伝わっている場所を確認し、既存のフタを活用することで、約1時間の作業で約7dBの低減につなげることができました。

    騒音対策では、対象機械を完全に囲う方法が最も分かりやすいとは限りません。

    反響音が大きければ吸音材を追加する、隙間から漏れていれば開口部を見直す、構造物を振動が伝わっているのであれば防振・制振を検討するなど、原因によって有効な対策は変わります。

    今回の船舶のように、設置スペースが限られている場所や、機械のメンテナンス性を残す必要がある場所でも、音の伝わり方を整理することで対策の選択肢が見つかる場合があります。

    静科では、船舶に限らず、工場設備、ポンプ、モーター、ブロワーなど、設置環境に合わせた騒音対策をご提案しています。現在の「一人静 Esprit Life」は、カッター加工や接着による設置が可能な吸音材として、機械カバーや室内の反響音対策などにも使用できます。

    「防音カバーを設置するスペースがない」「振動なのか反響音なのか分からない」「どこから手を付ければよいか分からない」といった場合も、まずは騒音の発生状況を整理することから始められます。

    騒音でお困りの際は、静科ホームページのお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

    騒音源のエンジン装置
    船上のフタ3つ
    取り付け後
    取り付け後 内側から