屋外用ドライルーツ式真空ポンプの騒音対策@大阪府~「一人静タイプA」使用の4面体防音カバーで約12dB低減
こんにちは、製造部岩崎です。
先日から隣接の工場が空き家となり、たまたま先約もないようでしたので場所をお借りする事ができました。今までは3m角を越える防音室の製作や仮設置時はかつかつでやりくりしておりましたが、だいぶ余裕ができて作業効率も上がりそうです。
さて、本日の記事では「真空ポンプ用防音カバー」の製作事例をご紹介いたします。
ドライルーツ式真空ポンプの騒音
今回ご相談を受けたのが工場屋外に設置してあるドライルーツ式真空ポンプの騒音対策についてでした。
ドライルーツ式真空ポンプは真空を生成するための機器で、特に乾燥状態での運転が可能なポンプを指します。名前にある「ドライ」は、潤滑油を使用せず摩擦部分が乾燥した状態で動作することを意味します。このポンプは通常、2つ(もしくは3つ)のローターを回転させながら、容積の変化を利用して気体を移動させて最終的に真空を生成します。
ローターがポンプ内で高速で回転する際に空気の衝突が発生し騒音を引き起こします。ローターとポンプ内部の構造的な接触や摩擦が特に音源となることもあります。その他にも排気部分の振動や、空気が流れたり圧縮されたりすることも騒音の原因の一つです。
対策方法としては機械を防音カバーで囲う方法が最も効率的ですが、都合により難しい場合はパーティションタイプで衝立をつくるだけでも多少軽減することができます。
こちらの事例では特に設置条件に縛りがありませんでしたので、防音カバーにて対策する方法をご提案させて頂きました。
メンテナンス用扉付きの4面体防音カバーにて騒音対策
既に設置してある防音材を、より効果の高いものに取り換えたい、というご希望があり、ご協力させていただきました。防音カバーの仕様は以下のようになります。
防音カバー仕様
- 幅広い周波数域に有効な「一人静タイプA」を選定
- 外寸は1.5m×1.5m×2m程
- 片面と床以外を塞いだ4面体防音カバー
- 配管を避けて設置できるようにパネルを分割式に
- 背面には内部へのアクセスが可能が片開き扉
- 床面アンカー固定

施工はお客様の方での対応ということで、簡易的な組立て手順書を添付させて頂きました。
弊社工場内の簡易実験で12dB程度低減に成功
片面開放にはなりますが、反響を抑えることができる(吸音性能が高い)ため回り込み音を最小限にとどめることができます。工場内の簡易実験では約80dBの音を68dB程度まで低減することができました。実際のご使用の際は敷地境界で音を測定するということでしたので、距離減衰により更に数dB下がることが見込まれます。
ちなみに、音というものは、混ざり合った際に一番うるさい音の影響が最も大きくなるような性質をもっております。工場は一般的に様々な音を発する機械が混同しているため、一つの機械を対策しただけでは全体の音が下がらないケースもございます。
騒音対策前に現地調査に伺うことで、総合的に判断してからの対策ご提案が可能ですので、騒音相談WEBツールにてお問い合わせの際は、ご検討のほどよろしくお願いいたします。