粒子解析装置用防音カバー~外的要因(騒音振動)から測定環境を守る
こんにちは、製造部岩崎です。
今年の初詣のおみくじは「凶」でした。特に健康運が悪いとの占い結果で、厄年というわけではないのですが、年始から体調を崩したりと、さっそくその兆候が見られています。無事に1年終えられるように慎重に行動したいと思います。
さて、本日の記事では「粒子解析計測装置向けの防音事例」をご紹介したいと思います。
粒子解析とは
粒子解析とは一般的に、とあるサンプルに含まれる粒子を何かしらの方法で分離(抽出)し、画像解析などを行うことをいいます。
画像解析では粒子の面積、周長、直径の測定や、円形度やアスペクト比などの解析を統計的に処理していきます。得られた情報を元に、粒子の特性を調べたり粒子自体の評価をします。
粒子解析は医薬品の分析、工場の品質管理、クリーンルームの清浄度管理など、さまざまな分野で活用されており、身近な所でも利用されています。
解析の手法としてよく用いられる方法は以下の4つです。
- 電子顕微鏡による観察
- 動的光散乱法(DLS)
- レーザー回折・散乱(LD)
- X線小角散乱法(SAXS)
今回防音パネル導入のご相談頂いたのは上から2番目の動的光散乱法(DLS)になります。
動的光散乱法(DLS)
動的光散乱法(DLS)は、液体中に分散した粒子のブラウン運動を利用する解析方法です。
液体中に分散している粒子は、ランダムにさまざまな方向へ拡散します。粒子が溶媒分子と衝突することでブラウン運動と呼ばれる運動が発生し、これによってエネルギーが伝達され、粒子の拡散が誘発されます。
エネルギーの変化の影響を受けやすい小さな粒子は大きな粒子よりも高速で拡散する、という性質を利用し、粒子の拡散速度から粒子の大きさを求めるのがDLSです。
外部からの影響を減らす目的で防音カバーを導入
上記のように、粒子解析は非常に繊細な作業となっており、外部からの影響は極力小さくすることは必要な課題です。特に「音」は空気の振動ですので、あまりに顕著な場合は解析結果にも影響を及ぼす可能性があります。そこで、防音カバーで機械を囲うことで周囲の騒音の影響を減らすことが出来ます。
今回導入した防音カバーの仕様は以下のようになります。
防音カバー仕様
- 「一人静タイプA」を使用した4面体防音カバー
- 外寸およそ1m×1m×高さ2m
- 下部にキャスター
- 天板から配管を逃がすように分割仕様

防音カバーにより外的要因を10~15dB程度低減
設置前後で簡易測定したところ、片面開放にもかかわらず周囲環境と比較して10~15dB程度の低減が得られました。外的要因を更に制御する方法として、防音ボックスを二重構造にする事例もあります。この手法を取れば20~30dB以上の低減も可能となりますが、使いやすさの観点では今回のような簡易的なカバーに軍配があがります。
関連記事:簡易無響ボックスのご紹介~二重構造により振動音と空気伝播音を抑制し無響室に限りなく近い性能を提供
対策による低減効果がどのくらいであったのか、数値データを元にした報告書をお作りすることも可能ですのでご入用の際はお申し付けください。