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株式会社静科

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    『一人静シリーズ』を支える素材に注目【後編】~ハニカムサンドイッチ構造と防音パネルへの応用

    こんにちは、製造部岩崎です。

    急に気温が20度を下回って明確に寒いと感じるようになりました。秋を感じる間もなく冬に片足を突っ込んだ感じがして非常に残念に思っています。おまけに週末の悪天候もあり、低気圧によってメンタルも体調も低下しがちです。週末まで頑張るためにも美味しものを食べて気分をあげていこうと思います。

    さて、今回のブログでは前回に引き続き、一人静シリーズに応用利用されている「ハニカム構造」について深堀りしていきたいと思います。

    関連ページ:『一人静シリーズ』を支える素材に注目【前編】~ハニカム(ハチの巣)構造について

    ハニカムサンドイッチ構造とそのメリット

    前回の記事ではハニカム構造について簡単ご紹介させて頂きました。今回はそのハニカム構造を活かした技術である「ハニカムサンドイッチ構造」についてご説明したいと思います。

    ハニカムサンドイッチ構造はハニカムを芯材として表面板で挟み込んだ構造材料のことを表し、「サンドイッチパネル」や「ハニカムパネル」とも呼ばれ、様々な分野にて利用されています。

    サンドイッチパネルは単位幅あたりの曲げ剛性、つまり強度が同等である単一素材の板に比べ非常に軽量です。強度を保ったまま軽量化ができるということはパネル材を生成するうえで大きなメリットなります。

    また、ハニカムサンドイッチ構造は接着をすることで一体構造をなすため、リベット止めやビス止めによって発生する凹凸や歪みのリスクが減り、優れた表面平滑性を得ることができます。

    防音パネルを形成する上で特に優れた構造機能は、ハニカムサンドイッチ構造自体が持つ消音特性です。サンドイッチパネルの吸音側に小さな孔を設ける事で、音響エネルギーを吸収する力が生まれます。

    これらの構造技術を最大限に活かして誕生したのが吸音遮音兼用の防音パネル「一人静」です。

    防音パネルへの応用

    静科の特許製品である一人静シリーズは薄型軽量性、剛性、消音性能に特化したハニカムサンドイッチパネルです。

    このパネルを紹介するうえで忘れてならないのが、ハニカムに充填されている吸音層であるフェノールフォームについてです。

    科学の世界では発明は「材料あるいは反応条件の工夫」から生まれることが多くありますが、静科シリーズの開発時に吸音層に選択した材料は誰もが知っている「生け花用の剣山」です。この材料は硬質フェノールフォームという合成樹脂の発泡体で「軽い、燃えない、吸音に適した多孔材」という長所がある反面、「脆い、水を吸う」という短所があり、工業材料には不向きとされてきました。

    この材料の「脆さ」を克服するべく白羽の矢がたったのがハニカム構造です。フォーム材をハニカム材の空間に押し込むことを試みると、フォームが壊れず、抵抗なく充填可能でした。一定の強度を保つことができ、衝撃吸収性を持った構造だからこそできた発明でした。

    このようにして開発者が想像した以上の機能性を持った製品が生まれましたが、商品は完成してもそれをカタログ等に載せるだけでは売れません。しかし、幸いにも第40回発明大賞本賞の受賞を始め、数々のメディアで取り上げて頂くなどして、徐々に技術と製品が世に知られることになりました。

    まだまだ研鑽を積まなくてはならない面もありますが、音でお困りのお客様に最適な製品やサービスをお届けしたいという思いの元にこれからも精進していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。