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2017-05-09

音に関する豆知識~ささやきの回廊~

製造部②です。

突然ですが皆様、「ささやきの回廊」という現象はご存知でしょうか?
音に関する勉強をしているうちにこのことを知り、そんな現象があるのか!と思ったので勝手ながらご紹介させて頂きます。

ささやきの回廊とは、
「反射音が凹曲面に沿って反射を繰り返し、遠方まで伝わる現象」のことをいいます。
言葉だけではいまいちイメージしにくいと思うので、簡単に図に表わしてみました(上図)。

ご覧のように、建物のある地点でひそひそと話していた声が壁を伝って何度も反射を繰り返し、反対側まで届いてしまうことがあるそうです。
ささやきの回廊現象が起こる条件としては、建物が平均的に見て綺麗な円形をしており、かつ壁が音を反射しやすい素材をしている、ということがあげられます。

有名なのがロンドンにある「セントポール寺院」です。
セントポール寺院には丸天井の下にぐるっとひとまわりできる廊下があります。
ドームの中心には何もなく反対側の廊下を歩いている人が見えるのですが、対岸に向かって大声を出してもまったく届きません。
しかし壁に向かって囁くだけで大声を出さずとも反対側に声が伝えられるのです。
この現象は壁伝いに水平方向に伝搬することでよく知られていますが、大きなドーム天井などでは垂直方向でも発生するそうです。

さて、このささやきの回廊現象ですが、不思議で面白いことには変わりありませんが、建築構造的には問題になることがあります。
音楽ホールのように自然な響きを重視するような空間では余計な反射音はノイズとなってしまいます。
解決策としては、壁を凸面にして音を拡散させたり、壁の一部に一人静Esprit等の吸音材を使用することで反響を未然に防ぐことがあげられます。
特にEspritは人の話し声の周波数帯域で効果が高いので、セントポール寺院の壁に設置してみたら上記の現象もなくなりそうです(名所としては台無しになってしまいますが)。

さて、今回のお話はここまでです。
ささやきの回廊、不思議なものですね。一度体験してみたいものです、
と思って色々と調べていたら実は日本にも同様な現象が発生する建物があることがわかりました。
兵庫県にある「神戸国際会館」です。
こちらの11Fに円形の中庭があり、そこの休憩ベンチでカフェ内の人の会話が聞こえてしまう現象がみられるそうです。
神戸に行かれる機会のある方は是非一度行ってみてはいかがでしょうか?


神奈川県厚木市金田492-1